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消化器・腸

ピロリ菌の検査・除菌と栄養|「感染=吸収障害」ではありません

ピロリ菌感染が、鉄欠乏性貧血やビタミンB12不足と関連することが報告されています。ただし、感染している人すべてに同じ吸収障害が起きるわけではありません。検査と除菌治療の位置づけ、栄養の話をどこまで扱えるか、消化器内科で相談したいことを整理します。

不調を整える編集部(監修:大黒 充晴/柔道整復師・臨床23年)ピロリ菌ヘリコバクター・ピロリ鉄欠乏性貧血ビタミンB12ビタミンC萎縮性胃炎除菌分子栄養学

🟢 この記事のやさしい結論(30秒でわかる)

  • 鉄剤を飲んでも改善しない貧血の背景として、ピロリ菌感染が挙げられることがあります。 心当たりがあれば、消化器内科で相談してください。
  • ただし、感染している人すべてに同じ吸収障害が起きるわけではありません。 胃の状態は人によって異なります。
  • 栄養の摂り方で除菌の成功率や除菌後の体感が変わると示す根拠を、この記事では提示できません。 そのため、そうした勧め方をしません。
  • 「除菌後の3〜6か月が特別な期間」といった期間設定も、根拠を示せないため書きません。
  • 除菌は標準治療です。自己判断で代替医療に置き換えることは勧められません。 胃がん・胃潰瘍の家族歴がある方、貧血が長引く方は医療機関で相談してください。

「鉄剤を飲んでも貧血が改善しない」——検査の相談先は消化器内科です

長年、鉄欠乏性貧血と言われて鉄剤を飲んでいるのに、数値が安定しない。月経の影響が考えにくい男性や閉経後の女性でも貧血が続く——。こうしたときに調べられる項目のひとつが、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染です。

原因のはっきりしない鉄欠乏性貧血で、ピロリ菌の検査と除菌が検討されることがあると報告されています。ただし、貧血の原因は消化管からの出血など複数あります。この記事の情報で原因を決めず、消化器内科で相談してください。

WHOの国際がん研究機関(IARC)は1994年にピロリ菌を「確実な発がん性がある(グループ1)」に分類しています。胃がんのリスクという観点からも、感染が疑われる場合の検査には意味があります。


「感染=吸収障害」ではありません

ピロリ菌の感染が続くと、胃の粘膜に慢性的な炎症が起き、人によっては萎縮性胃炎が進みます。萎縮が進んだ胃では、胃酸や内因子の分泌が減ることがあり、それが鉄やビタミンB12の吸収に関わると説明されています。

ここで大事なのは「人によっては」という部分です。

  • 感染していても、胃の萎縮が進んでいない人もいます。
  • 萎縮の程度も、栄養の状態も、人によって異なります。
  • 「感染しているから鉄もB12も吸収できていない」と決めることはできません。

胃の状態は、内視鏡検査や血液検査(ペプシノゲンなど)で評価されます。自分の胃がどういう状態なのかは、検査の結果として医師から説明を受けてください。


検査について

次のような場合は、消化器内科で相談する価値があります。

  • 鉄剤を飲んでもフェリチン値が上がらない、貧血が長引く
  • 胃の不快感・胃もたれが続く
  • 家族に胃がん・胃潰瘍の既往がある
  • 健診で萎縮性胃炎を指摘されたことがある

検査には呼気テスト・血液や尿の抗体検査・便中抗原検査・内視鏡での検査などがあります。どの検査を使うか、保険で受けられるかは、症状や経過によって異なります。


除菌治療の位置づけ

除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗生物質を組み合わせて1〜2週間服用する方法が一般的です。成功率は使う薬や薬剤耐性の状況によって変わり、1回目で除菌できない場合は2次除菌が行われます。

この記事では、栄養やサプリメントで除菌の成功率が上がるという書き方をしません。 その根拠を示せないためです。

治療中に気になる症状(下痢、味の変化、発疹など)が出た場合は、自己判断で中断せず処方元に連絡してください。


栄養の話を、この記事がどこまで扱えるか

ピロリ菌に関連して、鉄・ビタミンB12・ビタミンCといった栄養素の名前がよく挙がります。ただし、この記事では次の書き方をしません。

  • 「除菌後の3〜6か月が、栄養を取り戻す特別な期間」
  • 「◯◯を補うと除菌後の体感が変わる」
  • 「B群で神経の回復を支える」
  • 「このレシピを週2〜3回でフェリチン値が動く」
  • 「乳製品・砂糖・小麦は避ける」「発酵食品を摂る」といった一律の指示

理由は同じで、ピロリ菌感染や除菌後の方を対象に、これらを確かめた根拠を示せないからです。

一方で、検査で鉄やビタミンB12の不足を指摘された場合の対応は必要な話です。その場合は、補い方と期間、再検査の時期を、指摘した医療機関で確認してください。鉄については鉄サプリの種類の違いも参考になりますが、必要かどうかの判断は診察が先です。


食材の紹介(献立の参考として)

以下は栄養素を多く含む食材の一覧です。ピロリ菌対策として提示するものではありません。

栄養素多く含む食材
赤身肉、レバー、かつお、あさり、小松菜、大豆
ビタミンB12しじみ、あさり、レバー、卵、魚
ビタミンCパプリカ、ブロッコリー、キウイ
亜鉛牡蠣、牛肉、卵黄
たんぱく質卵、魚、肉、大豆

胃の症状があるときに食べやすいものは人によって異なります。食事量が減っている、体重が落ちてきたという場合は、そのことを医療機関で伝えてください。


診察で伝えると相談しやすいこと

伝えることメモの例となる項目
貧血の経過いつから、どんな検査値だったか、鉄剤を飲んだ期間と反応
胃の症状胃もたれ、痛み、食欲、体重の変化
便の様子黒い便、血が混じる、下痢や便秘
既往と家族歴胃潰瘍、胃がん、内視鏡を受けた時期
薬・サプリメント商品名と飲み始めた時期(胃薬・鎮痛薬も)

かんたんまとめ

  • 改善しない貧血の背景として、ピロリ菌感染が挙げられることがあります。消化器内科で相談してください。
  • 感染している人すべてに同じ吸収障害が起きるわけではありません。
  • 栄養で除菌成功率や除菌後の体感が変わると示す根拠を、この記事では提示できません。
  • 「除菌後の3〜6か月」といった期間設定も書きません。
  • 除菌は標準治療です。自己判断で代替医療に置き換えないでください。

本記事は教育目的の情報提供です。ピロリ菌検査・除菌治療は消化器内科で保険診療として受けられる場合があります。除菌は標準治療であり、自己判断で代替医療に置き換えることは推奨されません。胃がん・胃潰瘍の家族歴がある方、貧血が長引く方は医療機関で相談してください。

監修:大黒 充晴(柔道整復師(国家資格) / 杏林予防医学研究所「細胞環境デザイン学」上級講座修了 / JALNIマスター講座修了者 / 臨床歴23年) / 編集:不調を整える編集部

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