ストレスに弱くなった、副腎が疲れている気がする——パントテン酸(ビタミンB5)の役割
ちょっとしたことでぐったりする、ストレス耐性が落ちた気がする、体が炎症を起こしやすい——これらはパントテン酸(ビタミンB5)不足のサインかもしれません。副腎・コルチゾール・CoAとの関係を分子栄養学の視点で解説します。

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「以前より確実にストレスに弱くなった」——それは根性の問題ではないかもしれない
少し前まで平気だったのに、仕事のプレッシャーで体がぐったりする。些細なことにひどく消耗する。体の炎症が治りにくくなった気がする。
こうした変化を「年齢のせい」「精神力の問題」と片付けてしまっていないでしょうか。
分子栄養学の視点では、ストレス耐性の低下・慢性疲労・炎症の取れにくさの背景に、パントテン酸(ビタミンB5)の不足が関わっているケースがあります。
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パントテン酸(ビタミンB5)とは何か
パントテン酸(pantothenic acid)は水溶性ビタミンB群のひとつです。名前の由来はギリシャ語の「pantothen(どこにでも)」で、ほぼすべての食品に微量含まれていることからこの名がつきました。
しかし「どこにでもある」からといって不足しないとは言えません。精製・加工食品中心の食事では、パントテン酸の含有量が大きく減少します。また、ストレスが多い時期には消費量が増加するため、現代人は潜在的な不足状態にある可能性が指摘されています。
パントテン酸が体の中でしている仕事
パントテン酸の役割を一言で表すなら、**「代謝の中枢を動かす補酵素の材料」**です。
① コエンザイムA(CoA)の構成成分
パントテン酸の最も重要な役割は、コエンザイムA(CoA)の構成成分であることです。CoAは体内の数百種類の代謝反応に関与する、代謝の要ともいえる補酵素です。
CoAが関わる主な代謝:
| 代謝経路 | CoAの役割 |
|---|---|
| TCAサイクル | アセチルCoAとしてエネルギー産生の出発点 |
| 脂肪酸のβ酸化 | 脂肪をエネルギーに変換するすべてのステップ |
| コレステロール合成 | 細胞膜・ステロイドホルモンの材料 |
| ヘム合成 | 赤血球・酵素の構成成分 |
| アセチルコリン合成 | 神経伝達物質の産生 |
パントテン酸が不足すると、これらすべてが滞ることになります。
② 副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の合成
これがストレスとの関係で最も重要なポイントです。
コルチゾールは副腎皮質で産生されるストレスホルモンで、炎症抑制・血糖調節・免疫制御を担います。コルチゾールの合成には、コレステロールをもとにした複数のステップが必要で、そのすべてにCoA(=パントテン酸)が関与します。
ストレスが続くとコルチゾール需要が高まり、パントテン酸の消費量も増加します。これが「ストレスが続くほどパントテン酸が枯渇しやすくなる」という悪循環の構造です。
副腎はパントテン酸を体内で最も高濃度に蓄積する臓器のひとつであることも、この関係を裏付けています。
③ 皮膚・粘膜の修復(パンテノール)
パントテン酸の誘導体である**パンテノール(パンテノール/プロビタミンB5)**は皮膚修復を促進する作用が知られており、多くのスキンケア製品にも使われています。
傷の治癒・粘膜の修復・皮膚バリアの維持にパントテン酸は関与しています。口内炎が治りにくい・肌荒れが続くという方は、パントテン酸の充足度も確認してみる価値があります。
④ 神経伝達物質アセチルコリンの合成
CoAはアセチルコリンの合成に必要です。アセチルコリンは記憶・学習・筋肉の収縮・副交感神経の活性化に関わる重要な神経伝達物質で、パントテン酸が不足するとこの産生にも影響が及ぶ可能性があります。
パントテン酸不足のサインチェック
以下に当てはまる項目が多い方は、パントテン酸の充足度を見直す価値があります。
- □ 以前より明らかにストレスに弱くなった
- □ ちょっとしたことでぐったりと疲れる
- □ 慢性的な疲労感・倦怠感がある
- □ 傷や口内炎が治りにくい
- □ 手足のしびれ・灼熱感がある
- □ 頭痛・不眠が増えた
- □ 食欲不振・吐き気がある
- □ 加工食品・コンビニ食中心の食事が続いている
- □ 慢性的なストレス状態が半年以上続いている
なぜ現代人はパントテン酸が不足しやすいのか
① 加工食品での損失
パントテン酸は熱・加工に弱く、精製・加工食品では大幅に減少します。白米・精製小麦・缶詰・インスタント食品を多く食べる方は、摂取量が少なくなりがちです。
② ストレスによる消費増加
コルチゾール合成の増加により、ストレスが多い時期ほどパントテン酸の需要が増加します。忙しい時こそ不足しやすいという皮肉な状況が生まれます。
③ アルコールによる代謝障害
アルコールはパントテン酸の吸収・利用を妨げます。
パントテン酸を豊富に含む食材
| 食材 | パントテン酸量の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 鶏レバー(100g) | 約10.1mg | 突出して豊富 |
| 牛レバー(100g) | 約7.7mg | 週1回で大幅補給 |
| 鶏むね肉(100g) | 約2.5mg | 毎日取り入れやすい |
| 納豆(50g) | 約2.4mg | 発酵食品として毎朝OK |
| 卵(1個) | 約1.4mg | 手軽な補給源 |
| アボカド(1/2個) | 約1.1mg | 脂溶性栄養素も同時補給 |
| 玄米(180g) | 約0.8mg | 主食を変えるだけで底上げ |
| きのこ類(100g) | 約1.0〜3.0mg | シイタケ・エリンギ・まいたけ |
成人の目安摂取量は5mg/日(日本人の食事摂取基準)。鶏レバーなら50g、鶏むね肉なら200gで一日分に相当します。
簡単レシピ:副腎を支える「鶏むね肉とアボカドの温サラダ」
材料(2人分)
- 鶏むね肉(蒸し鶏・または茹で鶏):200g
- アボカド:1個
- ブロッコリー:1/2株
- ゆで卵:2個
- レモン汁:大さじ1・ハイオレイック紅花油:大さじ1・塩・こしょう適量
作り方
- 鶏むね肉を電子レンジ(500W・5分)または蒸し器で火を通し、手で裂く
- ブロッコリーをさっと茹でて小房に分ける
- アボカドを一口大にカット
- すべてを合わせてレモン汁・オイル・塩こしょうで和える
ポイント:鶏むね肉+アボカド+卵の組み合わせで、パントテン酸・ビオチン・B群を一皿で補給できます。副腎疲労が気になる方の夕食として週2〜3回おすすめします。
サプリメントで補う
ストレスが多い時期・食事から十分に摂れない場合は、サプリメントでの補充が有益です。パントテン酸はビタミンB群の一種のため、B群全体として摂ることで相乗効果が得られます。
また、ビタミンCはコルチゾール合成の別の段階でも必要な栄養素であり、パントテン酸と組み合わせることで副腎のサポートが包括的になります。
ニューサイエンス ビタミンB+——副腎とエネルギー産生を支えるB群全体
パントテン酸(B5)を含むビタミンB群全体を配合。ストレス時の副腎コルチゾール合成・エネルギー代謝を包括的にサポートします。
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ビタミンB⁺
山田豊文先生監修。B1・B2・B6・B12・葉酸を含む複合ビタミンB群。末梢神経のミエリン鞘再生・エネルギー代謝(TCAサイクル)の補因子として神経修復を促進。
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ニューサイエンス ビタミンC+——副腎の抗酸化・コルチゾール合成を同時にサポート
ビタミンCは副腎皮質に高濃度に蓄積し、ストレス時のコルチゾール合成を支える抗酸化物質です。パントテン酸と組み合わせることで副腎サポートの相乗効果が期待できます。
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ニューサイエンス
ビタミンC⁺
山田豊文先生監修。低分子コラーゲン合成・副腎疲労対策・抗酸化の要。アスコルビン酸の還元力でコラーゲン架橋に不可欠なプロリン・リジンの水酸化を促進。
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まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| パントテン酸の主な役割 | CoAの構成成分・副腎コルチゾール合成・エネルギー産生全般 |
| 不足のサイン | ストレス耐性の低下・慢性疲労・傷が治りにくい・手足のしびれ |
| 不足しやすい理由 | 加工食品中心の食事・ストレスによる消費増加 |
| 最善の食材 | 鶏・牛レバー・鶏むね肉・納豆・アボカド・卵 |
| 補い方 | B群全体のサプリメント+ビタミンCで副腎を包括サポート |
ストレスに弱くなったと感じる時、それは意志力の問題ではなく、副腎を動かすための「材料不足」のサインかもしれません。パントテン酸という視点を日々の食事に取り入れてみてください。
本記事は教育目的の情報提供です。副腎機能・ストレス関連の症状が続く場合は、内科・心療内科でのご相談もお考えください。
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