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「カロリーゼロ」は本当にゼロ?栄養成分表示の基準
「ゼロ」「ノン」「ひかえめ」「30%オフ」。これらは雰囲気の言葉ではなく、食品表示基準で数値が決められた表示です。含まない旨は100g当たり◯未満、低い旨は◯以下、低減された旨は25%以上——基準値を一覧で示し、そして「糖質オフ」に基準がない理由まで、制度に沿って正確に整理します。
🟢 この記事のやさしい結論(30秒でわかる)
- パッケージの「ゼロ」「ノン」「ひかえめ」「30%オフ」は、雰囲気の言葉ではなく、法律で数値が決まっている表示です。
- ただし**「ゼロ=0」ではありません**。「ゼロ」は食品100g(飲料は100mL)当たりが基準値未満という意味です。
- たとえば熱量は、100mL当たり5kcal未満なら「カロリーゼロ」と書けます。500mLのペットボトルなら、理論上25kcal近くまではありえます。
- 「ひかえめ」「ライト」は熱量なら100g当たり40kcal以下(飲料は100mL当たり20kcal以下)。ゼロよりずっとゆるい基準です。
- 「◯%オフ」「◯gカット」は、比べる相手が必要な表示で、25%以上減っていることが条件です(みそ・しょうゆだけ特例)。
- いちばんの落とし穴は「糖質オフ」。糖類には基準がありますが、糖質には栄養強調表示の基準がありません。
- ⚠️ どれも「体にいい」の保証ではなく、その成分の量の約束です。読み方を知ると、比較ができるようになります。
- 数値はすべて食品表示基準 別表第13(2026年7月時点)に基づいています。
「ゼロ」は0のことではない——単位は100g(飲料は100mL)
このセクションの要点:「無」「ゼロ」「ノン」は、100g当たり(飲料は100mL当たり)が基準値未満、という意味の表示です。0ではありません。
まず、いちばん誤解の多いところから。
「カロリーゼロ」は、熱量が0kcalという意味ではありません。
食品表示基準では、「無」「ゼロ」「ノン」「レス」といった表示(制度上は含まない旨の表示といいます)を使える条件が、成分ごとに数値で決められています。そして、その単位は食品100g当たり(一般に飲用に供する液状の食品は100mL当たり)です。
熱量の基準値は5kcal。つまり——
100mL当たり5kcal未満なら、「カロリーゼロ」と表示できます。
500mLのペットボトル飲料であれば、100mL当たり5kcal弱×5で、理論上は25kcal近くまでありうるという計算になります。1本ならわずかな量ですが、「ゼロだから何本でも同じ」ではない、ということです。
これは誰かが嘘をついているという話ではありません。表示のルールがそういう単位で決まっている、という話です。単位を知っていれば、正しく読めます。
「ゼロ」と「ひかえめ」の基準値一覧
このセクションの要点:含まない旨は「基準値未満」、低い旨は「基準値以下」。同じ成分でも、両者の基準値は10〜30倍ほど違います。
食品表示基準 別表第13で定められている数値を、そのまま並べます。
カッコ内は、一般に飲用に供する液状の食品100mL当たりの数値です。
| 成分 | 「無・ゼロ・ノン・レス」 =この値未満 | 「低・ひかえめ・少・ライト」 =この値以下 |
|---|---|---|
| 熱量 | 5kcal(5kcal) | 40kcal(20kcal) |
| 脂質 | 0.5g(0.5g) | 3g(1.5g) |
| 飽和脂肪酸 | 0.1g(0.1g) | 1.5g(0.75g) |
| コレステロール | 5mg(5mg) | 20mg(10mg) |
| 糖類 | 0.5g(0.5g) | 5g(2.5g) |
| ナトリウム | 5mg(5mg) | 120mg(120mg) |
(2026年7月時点。食品100g当たりの数値)
ここで注目したいのが、「ゼロ」と「ひかえめ」の距離です。
熱量なら、ゼロは5kcal未満、ひかえめは40kcal以下。8倍の開きがあります。糖類なら0.5g未満と5g以下で10倍。ナトリウムに至っては5mgと120mgで24倍です。
「ひかえめ」「ライト」は、ゼロのちょっと手前ではありません。かなり別の水準の表示です。
なお、いくつかの成分には条件(ただし書き)があります。
- 飽和脂肪酸の「低い旨」:その食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが、熱量の10%以下であること
- コレステロールの「ゼロ」「低い旨」:飽和脂肪酸の量が1.5g(飲料0.75g)未満/以下で、かつ飽和脂肪酸由来の熱量が全体の10%未満/以下であること
- 脂質の「ゼロ」の例外:いわゆるノンオイルドレッシングは、0.5gではなく3gが基準
コレステロールにこの条件が付いているのは、「コレステロールゼロだが脂質は多い」という表示を防ぐためです。植物油はもともとコレステロールをほとんど含みませんから、条件がなければ油そのものに「コレステロールゼロ」と書けてしまいます。
「30%オフ」は、比べる相手がいて初めて成立する
このセクションの要点:「◯%カット」「◯gオフ」は相対表示です。25%以上減っていること、そして絶対差も基準値以上あることが必要です。
「30%カット」「10gオフ」「ハーフ」といった表示は、低減された旨の表示と呼ばれます。これは絶対量の表示ではなく、何かと比べた表示です。
条件は2つあります。
- 比較対象品との絶対差(減った量)が、基準値以上であること
- 比較対象品との相対差(減った割合)が、25%以上であること
絶対差の基準値は、「低い旨」と同じ数値です(熱量なら40kcal、ナトリウムなら120mg、糖類なら5gなど)。
つまり「25%減った」だけでは足りず、減った実量も一定以上ないと書けないということです。
そして、この表示をする場合は、何と比べたのかとどれだけ減ったのかを、強調表示の近くに書くことが求められます。「自社従来品◯◯」「日本食品標準成分表◯訂」といった記載を見かけるのは、このためです。
「減塩」には、みそとしょうゆだけの特例がある
「減塩」「塩分◯%カット」という表示には、ナトリウムの低減された旨の基準が適用されます。原則は25%以上です。
ただし例外があります。ナトリウムを25%以上減らすと保存性や品質を保つことが著しく困難な食品——具体的にはみそとしょうゆについて、次の割合が認められています。
- みそ:15%以上
- しょうゆ:20%以上
減塩みそ・減塩しょうゆの「減塩」は、他の食品の「減塩」よりゆるい基準で表示されている、ということです。これも欺きではなく、発酵と保存という食品の性質に合わせた制度上の判断です。
最大の落とし穴——「糖質オフ」には基準がない
このセクションの要点:糖類には基準がありますが、糖質には栄養強調表示の基準がありません。「糖質オフ」は各社の判断で書かれています。
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
前の表を見返してください。基準値が定められているのは糖類です。糖質ではありません。
この2つは別物です。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 糖類 | 単糖類と二糖類(ブドウ糖・果糖・砂糖・乳糖など)。ただし糖アルコールは除く |
| 糖質 | 炭水化物から食物繊維を除いたもの。糖類+でんぷん+糖アルコールなど |
糖質のほうが、はるかに広い概念です。
そして食品表示基準では、糖質は栄養強調表示の基準が定められていない成分です。基準がない成分について強調表示を行う場合は、科学的根拠に基づいて販売者の責任において表示することになっています(この場合、炭水化物の内訳として糖質と食物繊維の量を表示することが必要です)。
まとめると——
- 「糖類ゼロ」 → 100g当たり0.5g未満という国の基準がある
- 「糖質オフ」 → 国の基準がない。各社の判断
つまり「糖質オフ」と書かれていても、何と比べてどれだけオフなのかは、商品ごとに確認するしかありません。表示された糖質量そのものを見るのが確実です。
似た言葉ですが、片方には数値の裏づけがあり、片方にはありません。ラベルの一文字違いで、意味の重さが変わります。
「無添加」「不使用」は、別のルールで動いている
このセクションの要点:「無添加」「不使用」は含まない旨の表示には該当しません。糖類とナトリウム塩だけ、専用の基準があります。
もうひとつ、混ざりやすいのがここです。
「不使用」「無添加」は、「含まない旨の表示」には該当しません。 ゼロの基準値とは無関係です。
ただし、糖類とナトリウム塩については、別に「無添加強調表示」という基準が設けられています。
「糖類無添加」「砂糖不使用」と書くための条件(すべて満たす必要あり)
- いかなる糖類も添加されていないこと
- 添加した糖類に代わる原材料・添加物を使っていないこと(ジャム、非還元濃縮果汁、乾燥果実ペーストなど)
- 酵素分解などで糖類の量が原材料由来の量を超えていないこと
- 糖類の含有量が表示されていること
「食塩無添加」と書くための条件
- いかなるナトリウム塩も添加されていないこと
- 添加した食塩に代わる原材料・添加物を使っていないこと(しょうゆ、ウスターソース、塩蔵魚、フィッシュソースなど)
「代わりのものを使っていないこと」まで条件に入っているのが、この基準の要点です。砂糖を抜いて濃縮果汁で甘くしたものは、「砂糖不使用」とは書けません。
なお、「ノンシュガー」「シュガーレス」は無添加の表示ではなく、糖類の含まない旨の基準(0.5g未満)が適用されます。ややこしいところですが、言葉の形ではなくどの基準が適用されるかで整理すると迷いません。
添加物表示そのものの読み方は、「無添加」表示は何を意味しないのかで扱っています。
ナトリウムと食塩相当量の換算式
このセクションの要点:栄養成分表示の食塩相当量は、ナトリウム量から換算した値です。式は決まっています。
栄養成分表示では、ナトリウムは食塩相当量に換算して表示することになっています。
換算式はこれです。
食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1000
たとえば、ナトリウムが100g当たり400mgなら、食塩相当量は 400 × 2.54 ÷ 1000 = 約1.0g です。
この式を知っておくと、海外製品などナトリウム表記の食品を、日本の食塩相当量と同じものさしで比べられるようになります。「ナトリウム◯mg」と書かれていても、頭の中でおよそ2.5倍して1000で割れば、食塩換算になります。
ちなみに「低い旨」のナトリウム基準値120mgを食塩相当量に直すと、約0.3gです。
表示は「良し悪し」ではなく「量の約束」
このセクションの要点:栄養強調表示は成分の量についての約束であって、健康への効果を示すものではありません。
最後に、線引きを正直に書いておきます。
ここまで見てきた表示は、すべて**「その成分がこれくらいの量である」という約束です。「体にいい」という意味ではありません**。
制度の解説文にも、こうした表示の対象になる成分は「過剰な摂取が健康の保持増進を妨げている」ものであって、そもそも栄養成分や熱量である以上、本来は有害な成分ではないという趣旨が明記されています。
つまり——
- 「カロリーゼロ」だから飲む量を気にしなくていい、ではない
- 「脂質ゼロ」だから太らない、ではない
- 「減塩」だから食べる量を増やしていい、ではない
表示が役に立つのは、同じカテゴリの商品を比べるときです。同じ棚のAとBを、同じものさしで並べられる。それがこのルールの本来の使いどころです。
サプリメントのラベルについては、区分ごとの意味の違いをサプリのラベル、どこを見て選ぶ?で、賞味期限・消費期限の読み方は賞味期限と消費期限の違いで整理しています。
よくある質問
Q. 「カロリーゼロ」の飲料は、いくら飲んでも0kcalですか?
いいえ。100mL当たり5kcal未満という基準です。ゼロに近い量ではありますが、量に比例して積み上がります。
Q. 「糖質ゼロ」という表示は見かけますが、基準はないのですか?
栄養強調表示としての基準は糖類に定められており、糖質には定められていません。表示された糖質の量そのものを確認するのが確実です。
Q. 「減塩」と書いてあれば、塩分は少ないと考えていいですか?
「比較対象品より25%以上少ない」という意味です(みそは15%、しょうゆは20%)。もとが多ければ、減っても多いままということはありえます。食塩相当量の実数を見てください。
Q. 「ライト」はカロリーが低いという意味ですか?
熱量の「低い旨」の基準(100g当たり40kcal以下、飲料は100mL当たり20kcal以下)を満たしている場合はそうです。基準を満たさずに単に「ライト」と表示することは、誤認を与えるおそれがあるため望ましくないとされています。
🟢 かんたんまとめ
- パッケージの「ゼロ」「ひかえめ」「◯%オフ」は、法律で数字が決まっている言葉です。
- でも**「ゼロ」は0ではありません**。「100g(飲みものは100mL)で、これより少ない」という意味です。
- カロリーなら、100mLで5kcalより少なければ「ゼロ」と書けます。
- 「ひかえめ」「ライト」は、ゼロよりずっとゆるい基準です(カロリーなら100gで40kcalまで)。
- 「◯%オフ」は何かと比べた表示。25%以上減っていることが条件です(みそは15%、しょうゆは20%)。
- 「糖質オフ」には国の基準がありません。書いてある糖質の量を見てください。
- 「無添加」「不使用」は、また別のルールです。
- この表示は「体にいい」の印ではなく、同じ棚の商品を比べるための道具です。
本記事は教育目的の情報提供であり、特定商品の推奨・効果の保証をするものではありません。制度の内容は2026年7月時点のもので、今後改正される可能性があります。最新情報は消費者庁の公表資料をご確認ください。食事制限が必要な疾患をお持ちの方は、医師・管理栄養士の指示を優先してください。
参考(一次情報)
- 食品表示基準 別表第13(第7条関係)「栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示の基準値」
- 消費者庁「栄養成分表示について」/食品表示基準Q&A
- 東京都保健医療局「栄養成分表示ハンドブック——食品表示基準に基づく栄養成分表示の方法等」(表6・無添加強調表示・ナトリウム換算式)
監修:大黒 充晴(柔道整復師(国家資格) / 杏林予防医学研究所「細胞環境デザイン学」上級講座修了 / JALNIマスター講座修了者 / 臨床歴23年) / 編集:不調を整える編集部