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代謝・血糖

ビタミンDの種類と選び方——D2とD3、どっちが正解?

ビタミンDサプリはD2とD3、IUとμg、K2やマグネシウムとの組み合わせで迷いがち。「D3が優れている」の根拠になったメタ解析を読み直すと、毎日飲む人には別の答えが見えてきます。日本の摂取基準・血液検査の見方・上限量まで、分子栄養学で整理します。

不調を整える編集部(監修:大黒 充晴/柔道整復師・臨床23年)ビタミンDサプリの選び方ビタミンD3ビタミンD225(OH)DIUビタミンK2分子栄養学

🟢 この記事のやさしい結論(30秒でわかる)

  • ビタミンDのサプリにはD2D3の2種類があります。「D3のほうが優れている」が定説です。
  • でも根拠になった研究をよく読むと、差がついたのは「まとめて大量に飲んだとき」毎日コツコツ飲む人では、D2とD3の差は消えていました。ここが一番の落とし穴です。
  • 単位に注意。**IU(アイユー)μg(マイクログラム)**が混在しています。1μg=40 IU。これを知らないと10倍の勘違いが起きます。
  • 日本の目安は1日9.0μg(=360 IU)、上限は100μg(=4,000 IU)(食事摂取基準2025年版)。上限を超える量を自己判断で続けないでください。
  • 足りているかは**血液検査(25(OH)D)**で分かります。20 ng/mL未満は「欠乏」(日本内分泌学会・日本骨代謝学会の判定指針)。まず測るのが遠回りに見えて一番速い。

棚の前で、「D2」と「D3」で固まる

このセクションの要点:ビタミンD選びの迷いは、ほぼ「型」「単位」「量」の3つに集約されます。

免疫、骨、気分、筋肉——いろんな不調の話に顔を出すビタミンD

いざ買おうとすると、「D3」「D2」「1000 IU」「25μg」と、見慣れない表記が並びます。

値段も種類もバラバラで、結局どれを選べばいいのか分からない——ここで止まる方はとても多いです。

迷いの正体は、実は3つしかありません。①どの型か(D2/D3)②単位の読み方(IU/μg)③どれだけ飲むか(目安と上限)

この記事は、この3つを順番にほどいていきます。そして最初の①で、世間で言われていることと、研究の中身が少しズレているという話をします。


① D2とD3——「D3が上」の常識を、原典で確かめる

このセクションの要点:D3が優れているのは本当。ただし“まとめ飲み”での話で、毎日飲みでは差が消えていました。

まず、2つの型の出どころが違います。

正式名主な出どころ
ビタミンD2エルゴカルシフェロールきのこ類(植物・菌類由来)
ビタミンD3コレカルシフェロール魚・卵黄、そして日光を浴びた皮膚(動物由来)

人の皮膚が日光で作るのはD3です。ここから「体にとってはD3が自然」という話になります。

そして「D3のほうが優れている」の根拠として最もよく引用されるのが、**Tripkovicら(2012年, American Journal of Clinical Nutrition 95巻6号 1357-1364)**のシステマティックレビュー・メタ解析です。

この研究の結論はたしかに「D3のほうが血中のビタミンD濃度(25(OH)D)を上げる力が強い」(P=0.001)。ここまでは、世間で言われているとおりです。

でも、ここから先が引用されない

この解析には、続きがあります

D3がD2に明確に勝ったのは、**ボーラス投与(=週1回・月1回などにまとめて大量に飲む飲み方)**のとき。

そして——毎日コツコツ飲む(daily)飲み方では、D2とD3の差は統計的に消えていた、と報告されているのです。

飲み方D2 vs D3 の差
まとめ飲み(週1・月1など大量)D3が明確に有利
毎日少しずつ差は消えた

つまり、「D3が上」は正しいけれど、条件つき

私たちの多くは「毎日1粒」で飲みます。その飲み方なら、型より「毎日続いているか」のほうがよほど効いてくる——これが原典を読んだ上での、正直なところです。

選び方としては: 迷ったらD3で構いません(日光で作られる型と同じで、まとめ飲みにも強い)。ただし**「D2だから意味がない」ということはありません**。毎日飲むなら、続けやすいほうを選んでください。きのこ由来のD2は、動物性を避けたい方の選択肢にもなります。

Biochemical Solution

ニューサイエンス

ビタミンD2

作用機序:制御性T細胞誘導IgE抑制NFκB下方制御カルシウム吸収神経保護

山田豊文先生監修。免疫調節ホルモン型ビタミン。制御性T細胞を増強しIgE過剰応答(アレルギー)を抑制。骨代謝・神経保護・抗炎症にも関与。

※ 本リンクはアフィリエイトリンクです。推奨は生化学的エビデンスに基づく個人的見解であり、特定疾患の診断・治療を目的とするものではありません。

食事から摂る場合の出どころはビタミンD不足のチェックリストもあわせてどうぞ。


② 単位の罠——IUとμg、混ぜると10倍まちがえる

このセクションの要点:1μg=40 IU。この換算を知らないと桁を勘違いします。

ビタミンDの表示は、2つの単位が混在しています。

  • IU(国際単位):海外製サプリでよく使われる
  • μg(マイクログラム):日本の食事摂取基準や国産品で使われる

換算はシンプルです。

1μg = 40 IU(逆に言うと、40 IU = 1μg)

具体的に並べてみます。

表示μgに直すと
400 IU10μg
1,000 IU25μg
2,000 IU50μg
4,000 IU100μg(=日本の上限量)
5,000 IU125μg(上限超え

海外製に多い「5,000 IU」は、日本の耐容上限量(100μg=4,000 IU)を超えています

「数字が大きいほどお得」と思って選ぶと、知らないうちに上限を超える——これが一番ありがちな事故です。


③ どれだけ摂ればいい?——日本の基準を確認する

このセクションの要点:目安は1日9.0μg、上限は100μg。上限は「超えてはいけない線」です。

**日本人の食事摂取基準(2025年版)**では、ビタミンDはこう決められています。

項目18歳以上の男女
目安量9.0μg/日(=360 IU)
耐容上限量100μg/日(=4,000 IU)

※2020年版では目安量8.5μgでしたが、2025年版で9.0μgに引き上げられました。

ここで大事なのは、目安量は「最低ライン」ではなく“これくらいで足りるだろう”という値で、**耐容上限量は「習慣的に超えないでほしい線」**だということ。

ビタミンDは脂溶性(=脂に溶けるので体に溜まりやすい)。水溶性のビタミンCのように「余ったら出ていく」わけではありません。

だから、上限量がきちんと設定されている数少ない栄養素なのです。過剰が続くと、血中カルシウムが上がりすぎる(高カルシウム血症)ことが知られています。

「多ければ多いほどいい」は、ビタミンDには当てはまりません。


④ 自分に必要かは、血液検査で分かります

このセクションの要点:25(OH)Dを測れば、足りているかは一発で分かります。20 ng/mL未満は「欠乏」。

ビタミンDが他の栄養素と決定的に違うのは、足りているかを血液検査で数値として確かめられることです。

測るのは血中25(OH)D(25-ヒドロキシビタミンD)濃度。体に貯まっているビタミンDの量を反映します。

日本内分泌学会・日本骨代謝学会の**「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」(2017年)**では、こう区分されています。

血中25(OH)D濃度判定
30 ng/mL 以上充足
20〜30 ng/mL 未満不足
20 ng/mL 未満欠乏

「なんとなく足りない気がするから飲む」より、一度測ってから決めるほうが、無駄も過剰もありません。

日本人にビタミンD不足が多いことは繰り返し報告されています。とくに屋内で過ごす時間が長い方・日焼け止めを常用する方・冬場は下がりやすい条件が揃います。


⑤ 一緒に考えたい栄養素——D単独では完結しない

このセクションの要点:ビタミンDは「カルシウムを吸収させる係」。入れた先の交通整理は別の栄養素の仕事です。

ビタミンDのおもな仕事のひとつが、腸からカルシウムを吸収させること

つまりビタミンDを増やすと、体に入ってくるカルシウムが増えます。では、そのカルシウムはどこへ行くのか——ここで関わってくるのが次の2つです。

「カルシウムを飲んでいるのに骨密度が上がらない」という悩みの背景を掘った記事もあります。→ 骨粗しょう症とマグネシウム

そしてビタミンDは脂溶性なので、油を含む食事と一緒に飲むと吸収されやすくなります。空腹時にサプリだけ、はもったいない飲み方です。


⑥ 食事と日光——サプリの前にできること

このセクションの要点:ビタミンDは「食べる」と「浴びる」の2ルートで入ってきます。

ビタミンDは、数少ない**「体が自分で作れるビタミン」**です。

ルート具体的に
食べる(D3)鮭・さんま・いわし・しらす干し・卵黄
食べる(D2)干ししいたけ・まいたけ・きくらげ(天日に干すと増える
浴びる(D3)日光(紫外線B波)を浴びた皮膚で作られる

きのこは、買ってきてから30分ほど日に当てるだけでもビタミンDが増えるとされます。手軽な裏ワザです。

日光は、季節・緯度・時間帯・肌の露出でまったく変わるため、「何分浴びればいい」と一律には言えません。ただ、屋内で完結する生活はビタミンDが増えにくい、というのは確かです。


誇張しないための整理

このセクションの要点:よくある言われ方と、事実を並べます。

よくある言われ方実際のところ
「D2は意味がない。D3一択」D3が有利なのはまとめ飲みのとき。毎日飲みでは差が消えたと報告されている(Tripkovic 2012)
「ビタミンDは多いほどいい」脂溶性で溜まる。上限100μg/日が設定されている
「5,000 IUが標準」5,000 IU=125μg=日本の上限超え
「飲めば免疫が上がる/病気を防げる」不足を埋める意味はあるが、病気を防ぐ・治すと断定できる段階ではない
「日光を浴びれば足りる」季節・生活で大きく変わる。測ってみないと分からない

🟢 かんたんまとめ

  • ビタミンDには**D2(きのこ)D3(魚・卵・日光)**がある。
  • 「D3が上」はまとめて飲むときの話毎日飲むなら差はほぼ消える——だから続けやすいほうでいい
  • 1μg=40 IU。海外製の「5,000 IU」は日本の上限(4,000 IU)超えなので注意。
  • 日本の目安は1日9.0μg(360 IU)、上限は100μg(4,000 IU)。多いほどいい、ではない。
  • 足りているかは**血液検査(25(OH)D)**で分かる。20未満=欠乏/20〜30=不足/30以上=充足
  • 油のある食事と一緒に飲むと吸収されやすい。K2・マグネシウムとセットで考える。
  • きのこは日に当てると増える。日光と食事が土台、サプリはその上の補い。

参考文献

  • Tripkovic L, et al. "Comparison of vitamin D2 and vitamin D3 supplementation in raising serum 25-hydroxyvitamin D status: a systematic review and meta-analysis." Am J Clin Nutr. 2012;95(6):1357-1364.
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, 2024.
  • 日本内分泌学会・日本骨代謝学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」日本内分泌学会雑誌 2017;93(Suppl).

本記事は教育目的の情報提供です。特定の栄養素の効果や安全性を断定するものではありません。腎臓の病気・サルコイドーシス・高カルシウム血症のある方、活性型ビタミンD製剤や利尿薬などを服用中の方、妊娠中の方は、サプリメントの利用前に必ず医師・薬剤師にご相談ください。血液検査の解釈は主治医の判断に従ってください。

監修:大黒 充晴(柔道整復師(国家資格) / 杏林アカデミー(杏林予防医学研究所)上級講座修了 / JALNIマスター講座修了者 / 臨床歴23年)/ 編集:不調を整える編集部

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