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産後3ヶ月、抜け毛が止まらないのはなぜ?——フェリチン・DHA・亜鉛から考える栄養サポート
産後3〜6ヶ月に多発する抜け毛は「ホルモンの一時的な変動」だけでなく、授乳による栄養消耗が深く関わっています。フェリチン(貯蔵鉄)・DHA・亜鉛を中心に、食事とサプリで取り組む産後の髪ケアを分子栄養学の視点で解説します。
🟢 この記事のやさしい結論(30秒でわかる)
- 産後の抜け毛は、エストロゲンの急落による休止期脱毛と、授乳による栄養消耗という2つが重なって起きると整理しています。
- 妊娠中に延長されていた髪の成長期が、出産後のエストロゲン低下で一斉に休止期へ移る——これが産後3〜6ヶ月に一気に抜ける仕組みです。
- 授乳では鉄(フェリチン)・亜鉛・DHA・たんぱく質が母乳を通じて優先的に赤ちゃんへ供給されます。ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低いと抜け毛が起きやすく、30ng/mL以下で脱毛が起きやすいとする報告が紹介されています。
- 食事のポイントは、ヘム鉄(赤身肉・かつお・あさり)とビタミンCの組み合わせ、亜鉛(牡蠣・納豆・ごま)、青魚を週3〜4回、たんぱく質を毎食1品以上。授乳中は亜鉛・たんぱく質の必要量が上乗せされます(日本人の食事摂取基準2020年版)。
- 休止期脱毛そのものは2〜3ヶ月で自然に回復することが多いとされています。授乳中のサプリメントの使用については、産婦人科・助産師にご相談のうえでご判断ください。
産後の抜け毛——「ホルモンのせい」で片付けていませんか?
赤ちゃんが生まれて3ヶ月ほど経った頃から、シャンプーのたびに抜け毛が増え、排水口が詰まるほどになった——。産後を経験した方の多くが経験するこの変化には、よく知られている理由と、あまり知られていない理由があります。
「産後の抜け毛はホルモン変動のせいだから仕方ない」というのは半分正しく、半分は見落としがあります。ホルモン変動は確かに抜け毛を引き起こしますが、それに加えて授乳による栄養消耗が重なることで、抜け毛が長引いたり、髪の細さ・コシの低下として残るケースがあります。
産後に抜け毛が増えるメカニズム
① エストロゲン急落による休止期脱毛
妊娠中はエストロゲン(女性ホルモン)が高い状態が続くため、髪の「成長期」が延長されます。つまり妊娠中は本来抜けるべき毛が体内に蓄積された状態です。
出産後にエストロゲンが急激に低下すると、蓄積されていた毛が一斉に休止期に移行し、産後3〜6ヶ月頃に一気に抜け落ちます。これを休止期脱毛(テロゲン脱毛)と呼びます。
② 授乳による栄養消耗
授乳は1日あたり約500〜700kcalを消費します。エネルギーだけでなく、以下の栄養素が母乳を通じて赤ちゃんに供給されるため、母体が補充できない場合に不足が深刻化します。
| 栄養素 | 授乳中に消費が増える理由 | 髪への影響 |
|---|---|---|
| 鉄(フェリチン) | 母乳分泌+産後出血による減少 | 毛根への酸素供給低下 |
| 亜鉛 | 赤ちゃんへ優先供給 | ケラチン合成低下・髪が細くなる |
| DHA | 赤ちゃんの脳発達のため母乳に濃縮 | 頭皮の炎症コントロール低下 |
| タンパク質 | 母乳産生の材料として大量消費 | ケラチン原料不足・髪質低下 |
③ フェリチン(貯蔵鉄)の枯渇
血液検査でヘモグロビン値が正常でも、フェリチン(貯蔵鉄)が低いと抜け毛が起きやすいことが知られています。フェリチンは「鉄の倉庫」で、体が鉄不足になったとき真っ先に優先順位を下げるのが「髪への供給」です。
産後は出産時の出血・母乳分泌の両方でフェリチンが急速に低下しやすい時期です。フェリチン値が30ng/mL以下になると脱毛が起きやすいとする報告もあります(Rushton et al., 2002, Journal of Cosmetic Dermatology)。
産後の抜け毛に関わる主な栄養素
フェリチン(鉄)
毛根細胞の分裂と、ヘモグロビンによる毛根への酸素供給に必要です。
食事で補うポイント:
- ヘム鉄(吸収率15〜30%):赤身肉・レバー・かつお・マグロ・あさり
- 非ヘム鉄(吸収率3〜8%):ほうれん草・小松菜・大豆・ひじき
- ビタミンCと同時摂取で非ヘム鉄の吸収が2〜3倍に上昇
亜鉛
毛母細胞(毛根の幹細胞)の分裂とケラチン(髪のタンパク質)合成に不可欠です。
食事で補うポイント:
- 牡蠣・牛肉(赤身)・豚肩ロース・カシューナッツ・ごま・納豆
- 授乳中の亜鉛推奨摂取量は通常より+2mg増(日本人の食事摂取基準2020年版)
DHA(オメガ3脂肪酸)
頭皮の皮脂腺と毛包周囲の炎症環境を整える働きがあります。授乳中はDHAが母乳に優先的に移行するため、魚を十分に食べないと母体で不足しやすくなります。
食事で補うポイント:
- サバ・イワシ・サンマなど青魚を週3〜4回
- 加熱による酸化を防ぐため、刺身・蒸し・低温調理を活用
タンパク質
髪の大部分はケラチンというタンパク質で構成されています。授乳中はタンパク質の必要量が+15〜20g増加します(日本人の食事摂取基準2020年版)。体重1kgあたり1.2〜1.5g/日を目安に、鶏むね肉・卵・大豆製品・魚を毎食1品以上意識しましょう。
産後に取り入れやすい食材マップ
| 優先する食材カテゴリ | 具体的な食材 | 目的 |
|---|---|---|
| ヘム鉄源 | サバ・アジ・マグロ・赤身肉・あさり | フェリチン補充 |
| 非ヘム鉄+ビタミンC | ほうれん草の胡麻和え(レモン少量) | 吸収率UP |
| 亜鉛源 | 牡蠣・納豆・ごま・豆腐 | ケラチン合成サポート |
| DHA源 | 刺身・焼き魚(青魚中心) | 頭皮環境サポート |
| タンパク質 | 卵・鶏むね・豆腐・WPIプロテイン | 毛母細胞の材料補充 |
簡単レシピ:産後に作りやすい「鉄・亜鉛・DHA補給丼」
材料(1人分・調理時間5分)
- サーモン刺身 80g(DHA・良質タンパク)
- 納豆 1パック(亜鉛・タンパク)
- 小松菜 1〜2株(みじん切り)(非ヘム鉄)
- レモン汁 小さじ1(ビタミンC:鉄吸収UP)
- しょうゆ 少量
- 白米 150g
作り方
- 白米に納豆をのせ、サーモンを並べる
- 小松菜のみじん切りを散らす
- レモン汁としょうゆを少量かけて完成
栄養ポイント: サーモン(DHA約1,000mg)+納豆(亜鉛0.6mg)+小松菜(非ヘム鉄1.5mg)+レモン(ビタミンC)で、吸収効率の高い産後ケア食になります。
サプリメントで補う
食事からの摂取が難しい日が続くとき、以下を参考にしてください。
亜鉛——ケラチン合成・毛母細胞のサポートに
商品情報
ニューサイエンス
亜鉛
WPIタンパク——授乳中のケラチン原料補充に
乳糖不耐症でも比較的利用しやすいWPI(ホエイプロテインアイソレート)タイプのプロテインです。授乳中のタンパク質補充として活用できます。
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REYS
WPIホエイプロテイン
WPIを使用したホエイプロテイン製品です。
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オメガ3(DHA・EPA)——頭皮の炎症環境を整えるサポートに
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California Gold Nutrition(iHerb)
Omega 800 超高濃度オメガ3フィッシュオイル
kd-pur®トリグリセリド型オメガ3。EPA480mg・DHA320mgを1粒に含むフィッシュオイル製品です。
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まとめ
| 原因 | 関連栄養素 | 優先対策 |
|---|---|---|
| 休止期脱毛(ホルモン変動) | — | 2〜3ヶ月で自然回復が多い |
| フェリチン低下 | 鉄 | 赤身魚・赤身肉+ビタミンC |
| 毛母細胞の栄養不足 | 亜鉛・タンパク質 | 納豆・豆腐・卵を毎食意識 |
| 頭皮の炎症環境 | DHA(オメガ3) | 青魚を週3〜4回 |
| 授乳中の総合消耗 | 複合的 | 食事量確保+サプリ補完 |
産後の抜け毛は「ホルモン変動」と「授乳による栄養消耗」のダブルの影響を受けます。回復には通常3〜6ヶ月かかりますが、フェリチン・亜鉛・DHAを意識した食事を続けることで、髪の回復をサポートできる可能性があります。産後のお体の変化を、焦らず栄養から整えていきましょう。
本記事は教育目的の情報提供です。授乳中のサプリメント使用については、産婦人科・助産師にご相談のうえでご判断ください。
監修:大黒 充晴(柔道整復師(国家資格) / 杏林予防医学研究所「細胞環境デザイン学」上級講座修了 / JALNIマスター講座修了者 / 臨床歴23年) / 編集:不調を整える編集部