ブログ一覧に戻る

※本記事はプロモーション(広告)を含みます

ホルモン・生殖

女性の妊活|葉酸・鉄・亜鉛・ビタミンD研究は何を示す?

妊活中の葉酸の目的と、鉄・亜鉛・ビタミンDの研究で分かる範囲を整理します。臨床23年の大黒充晴が監修。栄養の一般的な役割と妊娠率への効果を分け、受診時の確認事項を紹介します。

不調を整える編集部(監修:大黒 充晴/柔道整復師・臨床23年)妊活不妊葉酸亜鉛ビタミンD栄養研究

🟢 この記事のやさしい結論(30秒でわかる)

  • 葉酸の摂取目的と、不妊の検査・治療は分けて考えます。
  • 鉄摂取と排卵性不妊の関連を調べた研究から、妊活中のフェリチン目標値は決められません。
  • 受精時の亜鉛の研究や、体外受精時のビタミンD濃度の研究は、そのまま市販サプリメントの効果を示すものではありません。
  • 栄養を整えるために受診を先延ばしにせず、パートナー側の評価も含めて相談しましょう。

「葉酸は飲んでいるのに、なかなか授かれない」と、次に足す栄養素を探していませんか。 この記事では、栄養研究の対象と評価項目を確かめ、診察で聞きたいことを整理します。

この記事の内容

臨床経験と、研究が答えることを分けて読む

相談の背景を知るための経験と、妊娠への効果を調べた研究は、役割が異なります。

院長の臨床経験として、次の記述を紹介します。

23年の臨床経験のなかで、葉酸だけを飲み続けながら結果が出ず、疲弊していく方を数多く見てきました。

これは相談に来られる方についての観察です。 葉酸以外の栄養素を追加すれば妊娠しやすくなる、という治療効果を示すものではありません。

葉酸は何のために摂るのですか?

葉酸で案内されているのは、主に胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減です。

厚生労働省は、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦について、通常の食品以外からの葉酸400μg/日を案内しています。 対象時期と目的を踏まえ、使用中の製品の成分表示や重複を確認してください。厚生労働省の解説

これは、葉酸で卵子の質や着床率が上がるという意味ではありません。 個別の疾患や服薬がある場合の量・製品の選択は、主治医または薬剤師に相談してください。

鉄・亜鉛・ビタミンDの研究は何を調べましたか?

人の観察研究、動物の受精研究、補充を行う試験は、答えられる問いが異なります。

鉄:排卵性不妊との関連を調べた観察研究

Chavarroら(2006年、Obstetrics & Gynecology)は、不妊の既往がない女性18,555人を追跡しました。 鉄サプリメントの使用などと、排卵障害による不妊の発生との関連を調べた研究です。

鉄サプリメントの使用者で排卵性不妊が少ない関連が報告されましたが、鉄を無作為に割り当てた試験ではありません。 この研究はフェリチンの治療目標を検証しておらず、妊活中の全員に鉄を勧める根拠にはできません。原著抄録:PMID 17077236

亜鉛:受精時の現象と、女性への補充は別

Kimら(2011年、ACS Chemical Biology)は、マウスなどの卵子が受精・活性化に伴い亜鉛を放出する「亜鉛スパーク」を研究しました。 非ヒト霊長類でも観察された現象ですが、女性に亜鉛を飲んでもらい、妊娠率を比較した研究ではありません。

卵子での亜鉛の働きから、サプリメントで妊娠成功率が上がるとは結論できません。原著抄録:PMID 21526836

ビタミンD:卵胞液と血液、濃度の観察と補充を区別する

Anifandisら(2010年、Reproductive Biology and Endocrinology)は、体外受精を受ける101人を対象に、血液・卵胞液の25-OHビタミンDなどを調べました。 卵胞液の濃度で群分けすると、高濃度群で臨床妊娠率が低い結果でした。

この観察結果から、血中濃度の一律の目標や、補充で妊娠率・出産率が上がるという結論は出せません。 逆に、ビタミンDの補充が妊活に有害と決める試験でもありません。原著抄録:PMID 20667111

研究を読むときの確認点混同しないこと
何を調べた研究か栄養素の働きと、サプリメントの治療効果
誰を対象にしたか動物の卵子と、妊活中の女性
何を測定したか血液・卵胞液の濃度と、実際の摂取量
何を結果としたか検査値・胚の評価・妊娠・出産

CoQ10やオメガ3についても、細胞内の役割を説明するだけで、個人に必要な量や妊娠への効果を決めることはできません。

検査や相談は、いつから考えればよいですか?

栄養に取り組む期間を先に決めず、年齢・月経の状態・妊娠を試みた期間に応じて相談します。

ASRMの2021年の委員会意見では、避妊せず妊娠を目指している場合、35歳未満は12か月、35歳以上は6か月を評価開始の目安としています。 40歳を超える場合や、月経不順など不妊に関わる問題がある場合は、より早い評価を検討します。ASRMの委員会意見

受診時には、妊娠を試みた期間、月経の経過、過去の妊娠、薬・サプリメントを伝えてください。 検査では排卵、子宮・卵管、パートナーの精液などを含めて評価します。女性側の栄養だけに原因を絞らないことが大切です。同委員会意見

かんたんまとめ

葉酸の目的を確認し、ほかの栄養素の補充は検査結果・食事・服薬を踏まえて相談しましょう。 「何を追加するか」の前に、「その研究は誰の、何の結果を調べたのか」を確かめることが、情報に振り回されないための手がかりです。

流産を繰り返している場合は不育症・反復流産の確認事項、鉄の検査についてはフェリチンと疲労も参照してください。

参考資料

本記事は教育目的の情報提供です。不妊・反復流産・着床不全については、産婦人科・生殖医療専門医にご相談ください。

監修:大黒 充晴(柔道整復師(国家資格) / 杏林予防医学研究所「細胞環境デザイン学」上級講座修了 / JALNIマスター講座修了者 / 臨床歴23年) / 編集:不調を整える編集部

関連記事

無料の不調タイプ診断記事一覧